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作者:,賀茂川
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-09-02(讲谈社)
价格:¥540 原版
文库:讲谈社轻小说文库
丛书:京·ガールズデイズ(1)
代购:lumagic.taobao.com
「地下鉄に乗るっ」シリーズ 京·ガールズデイズ1 ~太秦萌の九十九戯曲~ 口絵・本文イラスト/賀茂川 デザイン/ムシカゴグラフィクス 1  五月に入り、京都市内はだんだんと熱気を増してきていた。  京都のとある高校生、太秦萌が教室の戸を開けて廊下に出ると、窓から差し込む光があちこちで談笑する生徒たちを照らしていた。  明日からゴールデンウィークも五連休に入るということで、みなどこかウキウキと心を躍らせているような、そんな雰囲気に満ちる廊下を萌は速足で抜けていく。 「あ、萌、もう帰んの?」 「うん、今日ちょっと用事があるから」  廊下の途中で友人とそう会話して別れの挨拶を交わし、萌は階段を下りて昇降口の前まで足を進めた──するとそこで、今上履きからローファーに履きかえようとしていた一人の女子生徒を見つける。  すらりとした体軀の、髪を肩口まで伸ばしたどこかあか抜けた様子の少女は、萌が気づくのと同時に萌に気づいて声を上げた。 「あ……太秦」  彼女の名は白河澄──萌の同級生だ。  この春の四月に、二年への進級を機に東京から京都に引っ越してきた彼女は、萌と席が隣同士なうえ、互いにカメラという共通の趣味をもっており、よく話をするようになった。 「白河さん、今帰り?」  萌が微笑みながら声をかけると、澄は自分から萌の名を呼んだというのになぜか驚いた顔をしていた。  どうやらただ意識せずに萌の名字を呟いただけで、呼び止めたわけではないらしい。 「あ、うん。まあ」  澄がこくこくとうなずくと、萌も靴を履きかえて彼女と共に昇降口を出て、五月の日差しが葉桜を明るく照らす中を並んで歩いた。 「白河さんは、もうこのまま帰るの?」 「ええ、そう。一度家に帰ってから、また京都を回ろうと思って」  放課後に時間があれば、澄はよくカメラをもって京都を回っているらしいことは聞いていた。街全体が観光名所のような京都のこと、被写体には困らないだろう。 「へえ、ええなあ」  萌がそう言うと、澄はちらりとこちらを見た。 「その、太秦も一緒に行く?」 「え、私も?」  澄から誘われたことに、萌は少し驚く──というのも、澄はどちらかというと一人を好む人間だと思っていたからだ。  クラスでも孤立しているというわけではないものの、あまり特定のグルー