太陽のチャンネル2 smile
口絵・本文イラスト/黒谷忍
デザイン/木緒なち(KOMEWORKS)
編集/庄司智
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どうして。
大切な人はこうも簡単に、いなくなってしまうのに。
……どうして。
どうしようもなく嫌な連中ばっかりが、平然と、生き残るのか。
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回想──
その女は絶望の淵にいた。
「人を殺さない殺し屋がいるって話し、知ってますか、先輩」
目的地へと向かうその道中。華やぐ商店街の表通りとは対照的に、森閑として薄暗い裏路地で──ふと思い出したようにその女は言ったのだ。しましま模様のニーソックスに厚底ブーツ……ひらひら、ふりふり、黒色ベースの派手な衣装。いわゆるゴスロリ。
そんなゴテゴテした格好の女は、にっぱりと、その服装よりも明るい笑顔で振り返り──
「殺し屋が人を殺さないで仕事になんてなんのかよって、そう思うっスよね」
──と。
そんな言葉を軽く投げかけていたつい数分前が、その女には遠い昔のことであるかのように思えてならない。
「その殺し屋は人を殺すんじゃなくて、何だかおかしな話っスけど……、逆に人を生かす仕事をするんだそうっスよ、先輩。……人を殺さない殺し屋。いいや。もしかしたら人を殺せないビビりな殺し屋。だから、『最弱』。格好つかない話っスよね、色々と」
女はオドケるように肩をすくめて見せると、そこから更に言葉を繫げる。
「そしてそんな『最弱』とはまた別に、どんなに強い奴でも簡単にぶっ殺してみせるっていう『最強』の殺し屋なんてのもいるらしいんスよ。殺しの腕がぴかいちの一級品も一級品。そいつに狙われてしまったが最後、どんなにじたばた足搔こうと、紛うことなく百パーセント、殺害される。その殺し屋に目を付けられて生き残った者はいないって噂っス。どんなに逃げても、どこまでも、どこまででも、追いかけてくる。よくある言い方をすると〝まるで死神みたいな奴〟っていうあれっスよ。しかもですね、先輩、驚くことに──そいつはまだまだ未成年、高校生なんだって噂っス。まったく、世も末っスよね。どうなってんだよこの世界って感じっス」
けらけらと笑い、女は先輩と呼んで慕うその人に、その、男に、
「ねえ、先輩。もしも今のオレらを殺しに来る奴がいたとしたら……、それは謎の