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作者:榊一郎
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-09-02(Hobby Japan)
价格:¥550 原版
文库:HJ文库
丛书:蒼鋼の冒涜者(2)
代购:lumagic.taobao.com
蒼鋼の冒涜者2 目次 序章 骸より出る命 第一章 神死して後 第二章 異境の神 第三章 神の帰還 終章 神の遣わしたる者 序章 骸より出る命  鬱蒼と無数の木々が生い茂り、昼なお昏い――森の奥。  ウルリーケは、自分に終わりの時が訪れたのだと悟っていた。 「……あ…………」  見開かれたままの虚ろな瞳が映す、暗緑の世界。  他に人の姿は無く、獣や鳥の姿すら無く、梢の隙間から降り注ぐ細い木漏れ日が、薄闇を幾つもに分断し、奇妙な模様を描き出していた。  恐らくこれが、自分の眼に映る最期の風景なのだろう。 「…………あ……あ……」  既に、意味の有る言葉すら出ない。  当然といえば当然……ウルリーケのこめかみには、深々と倒木の枝が突き刺さっていた。むしろ、朦朧としているとはいえ、未だ意識が有る事の方が奇跡に近い。 「…………う……あ……」  彼女が倒れた先に、先端の尖った枝が真上を向いて在った事が不運なら、彼女が横を向いて倒れてしまったのもまた、不運だろう。こめかみは頭蓋骨の中でも最も薄い部分である――刺さる角度と勢いによっては、木の枝でも、これを貫いてしまう程に。  そう。ただただ、ウルリーケは不運だった。  元々は、森にキノコを採りに来ただけだ。  畑仕事と異なり、殊更に力を要しないキノコ採りは、子供達に任せられる事も多い。採るべきキノコの種類や、生えている場所は勿論、どの辺りに危険な獣が出るのか、どの辺りに危険な岩や崖が在るのか、よく知っている。たとえ眼を瞑っていたって、迷う事なんか無い……と、ウルリーケは自信たっぷりに森に入った。  その油断が――文字通りに、命取りになった。  前日までの大雨で、斜面の一部が緩んでいた事に、彼女は気づいていなかったのだ。  いつも通りの『近道』をしようと、ウルリーケは幾つか点在する大岩から大岩へと飛び移った。腐葉土は柔らかく、どうしても脚をとられるので、歩きにくいのだ。  ウルリーケが岩に飛び乗ったその瞬間――突然に、辺り一帯が崩れた。