フレイム王国興亡記 4
目次
第一章 Chapter One
第二章 Chapter Two
第三章 Chapter Three
第四章 Chapter Four
第五章 Chapter Five
幕間 Intermission
第六章 Chapter Six
終章 Epilogue
──ロンド・デ・テラ 公爵屋敷
会議室内は静寂に包まれた。
「に、ニアちゃん? や、ヤですね〜? じょ、冗談ですよね? イヤですよ〜、そんな冗談は! ほら! 港の建設計画に──」
「申し訳御座いません、ノエルさん」
「──賛成って……え?」
「わたくしは……反対ですので。港の──建設計画には」
ノエルの、その掠れた様な問い掛ける声を遮る様にソニアの言葉が響く。その言葉に二、三度目をパチクリと瞬かせた後、ノエルが慌てた様に言葉を継いだ。
「に、ニアちゃん! なんで? なんでですか! こないだ言ってたじゃないですか! これは、わたくしの望む形では無いって! だって、そこのレインとかいう商人がエミリさんを騙したんですよ! だって……だって!」
「それとこれとは別の話です。申し訳御座いません、エリカ様。ですが……わたくしは、反対なのですよ。港を作る事、ではありません。こんな──」
居並ぶ商人を睨み付け。
「──こんな商人達に治政の、その大事を委ねる事が」
「酷い言い草ね〜、ソニア様。私達だってテラの発展を──まあ、祈っては居るわよ? 勿論、自分たちの利益が一番だけど?」
そんなソニアの言葉を怒るでもなく、ばかりか面白そうにそう言って見せるウェーバー。
「それに……それを言うならソニア様だって一緒でしょ? コータちゃんを、エミリちゃんを、エリカ様を裏切って私達に付くんですもの。自らの『利益』の為に」
「……そうですね。否定はしません」
少しだけ諦めた様、ソニアはそう言って視線を浩太に。
「それでは、コータ様」
未だ、愕然とした表情を浮かべる浩太に、飛びっきりの笑顔を向けて。
「さあ……採決をお願い致します。この『ロンド・デ・テラ港湾整備株式会社』は多数決で物事の全てを決めるのでしょう? さあ」
多数決を、と。
「──っ!」
何か、口を開かなければならない。
そ