異世界混浴物語 2 熱情の砂風呂
目次
序の湯 フロローグ
一の湯 タオル、是か非か
春の湯 名探偵はるのん
二の湯 湯面に浮かぶ月
三の湯 ハデス地獄めぐり
四の湯 地獄の釜の蓋が開く
序の湯 フロローグ
改めて自己紹介しておこう。
俺の名前は北條冬夜。漢字まで知った人からは「寒そう」とよく言われる男だ。「北」に「冬」に「夜」、確かに寒そうなので否定はできない。
魔王復活の兆しがあるため、この世界に召喚された五人の日本人の内の一人である。
五百年ほど前に魔王を倒して封印したのも、俺達と同じように召喚された当時の日本人だったらしい。
「こってるわねぇ、トウヤ」
「クレナもな」
俺と『空白地帯』で出会った二人の少女クレナとロニは、筋肉痛に苛まれていた。
銀色の髪と銀色の瞳を持つクレナは、雪のような色白の肌がまぶしい少女だ。
本人は太っていると気にしているが、俺に言わせればムチムチもち肌である。
ここまで旅をしてきただけあって鍛えられてはいるが、見た目は実に柔らかで女性的。一つの奇跡と言っていいだろう。と言うか、実際に言った。
ロニの方はカスタードクリーム色の長い髪の少女で、髪が多くもっさりしているのを本人も気にしている。これについては俺も否定できない。
狼の耳と尻尾を持つリュカオンという獣人で、ひとなつっこい笑顔と、真っ直ぐなオレンジの瞳が印象的だ。
二人は北国ユノの出身で、クレナの方は家から勘当された元・貴族令嬢であり、ロニは彼女の従者らしい。
この世界に召喚された人は女神の祝福を授かり『ギフト』と呼ばれる不思議な力を得る事ができる。俺達はその力を目当てに召喚されたのだろう。
そして俺が授かったギフトは『無限アンリミテツドバスルーム』、いつでもどこでもお風呂につながる扉を開く力。女の子と混浴するには少々狭めだが、その分密着できるお風呂である。
不思議な力というか、こんな力が生えてきた事自体が不思議だと言うか、責任者出てこいと叫びたくなるのは俺だけではないと思う。
しかし、バスルームと言っても、脱衣室で寝るぐらいはできる。今夜も中で休ませてもらうとしよう。
「すまないな、ルリトラ」
「いえ、構いません。私は、その中の方が苦手ですので」
外で荷物の番をしてく