ありふれた職業で世界最強 1
目次
序章
第一章 異世界召喚とありふれた天職
第二章 奈落の底の化け物
第三章 黄金の吸血姫
第四章 最奥のガーディアン
最終章 旅立ち
終章的序章
番外編 勝率0パーセントの戦い
イラスト/たかやKi
暗闇の中、急速に小さくなっていく光。無意識に手を伸ばすも摑めるはずもなく、途轍もない落下感に股間をキュッとさせながら、南雲ハジメは恐怖に歪んだ表情で消えゆく光を凝視した。
ハジメは現在、奈落を思わせる深い崖を絶賛落下中なのである。目に見える光は地上の明かりだ。ダンジョンの探索中、巨大な大地の裂け目に落ちたハジメは、遂に光が届かない深部まで落下し続け、真っ暗闇となった中で、ゴゥゴゥという風の音を聞きながら走馬灯を見た。
日本人である自分が、ファンタジーという夢と希望が詰まった言葉で表すには些かハード過ぎるこの世界にやって来て味わった理不尽なあれこれと、現在進行形で味わっている不幸までの経緯を。
月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。
そして、それは南雲ハジメも例外ではなかった。但し、ハジメの場合、単に面倒というだけでなく、学校の居心地が頗る付きで悪いが故の憂鬱さが多分に含まれていたが。
ハジメは、何時ものように始業チャイムが鳴るギリギリに登校し、徹夜でふらつく体で何とか踏ん張り教室の扉を開けた。
その瞬間、教室の男子生徒の大半から舌打ちやら睨みやらを頂戴する。女子生徒も友好的な表情をする者はいない。無関心ならまだいい方で、あからさまに侮蔑の表情を向ける者もいる。
極力意識しないように自席へ向かうハジメ。しかし、毎度のことながらちょっかいを出してくる者がいる。
「よぉ、キモオタ! また、徹夜でゲームか? どうせエロゲでもしてたんだろ?」
「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん」
一体なにが面白いのかゲラゲラと笑い出す男子生徒達。声を掛けてきたのは檜山大介といい、毎日飽きもせず日課のようにハジメに絡む生徒の筆頭だ。近くでバカ笑いをしているのは斎藤良樹、近藤礼一、中野信治の三人で、大体この四人が頻繁にハジメに絡む。
檜山の言う通り、ハジメはオタクだ。と言ってもキ