彼女たちのどうでもいい秘密
Ｉｌｌｕｓｔ かれい
Ｄｅｓｉｇｎ ＡＦＴＥＲＧＬＯＷ
目次
第一章 運命は突然やってくる。夜道で後ろから。
第二章 捕食される草食獣の気持ち。
第三章 言葉では伝わらないものもある説。
第四章 変な人は一人だけだと誰が言った。
第五章 正直に生きるって難しい。
第六章 出たとこ勝負は大抵失敗する。
第七章 団結力は下から湧いてくる。
第八章 休みの日に本当に休むのはお父さんだけ。
第九章 男女三人で遊園地とか行くものじゃない。
第十章 着地点は大事だと思う。
第十一章 意外とそんな理由でいいらしい。
あとがき
第一章 運命は突然やってくる。夜道で後ろから。
世の中は情報化社会と言われて久しく、ちょっとした情報はなんでも思ったその場で手に入る時代となり、いろいろなものの価値観は変わった。
たとえば数十年前の記録映像などでは、アイドル歌手がそこらの道に出たの、出ないの、といった噂で暴動のような騒ぎが頻繁に起こっていた。
思い返せば、そんな大騒ぎするほどなのかコレ、という顔でも、一目見るためにそれほどの情熱を燃やす若者が、東京の大通りを埋め尽くすほどいたのだ。
今でもアイドルの動向は騒動を起こすが、その方向性は当時と同じではない。
「アイドル並みの美貌」はいろいろな美容技術の進歩で安売りになり、また個人の目から見える世界の広さも変わった。端末ひとつがあれば日本の芸能界のみならず、世界中の美男美女がいつでも見られる。ゲシュタルト崩壊するほどに。
アイドルひとり目にするために、雪崩を打つほどの必要はそうそうなくなったのだ。
美しい、というものに対する価値観は、そういう意味でマンガの中とは違う……と、音無武士は思う。
きっとマンガを描いている作者の世代か、あるいはその作者が昔読んだマンガを描いていた世代が、そういう時代の人間だったのだろう。
現実は美人というものに対して、人はそんなに劇的な反応はしない。
やるとしたって一種の礼儀か、あるいはギャグだ。恰好が悪い。
人間の美貌にはそんな力はない。
……と、思っていた。
◇◇◇
「新井凛です。細かく自己紹介する必要もないと思いますが、生徒会長です」
武士の眼前１メートルで、美少女はそ
