東京鬼娘 -TOKYO DEVIL GIRLS-
目次
序章
第1章 再会は悲劇の始まり
第2章 妖怪退治、始めました
第3章 閻魔大王からの使命
第4章 閻魔大王の失態
第5章 最終決戦
終章
あとがき
逃げないと、早く逃げないと、ここから早く逃げないと……。
あぁ、どうしてなんだ!
足が勝手に動いている。どうして、ぼくはこんなに好奇心が強いんだ。自分でも呆れてしまう。正直に言うと、幽霊を見てみたい。でも、この先は危険だ。
あっ、窓に人影が映ったぞ。
間違いない。幽霊屋敷の噂は本当だったんだ。あの家には幽霊がいる。テレビや漫画に出てくる作り物じゃない。本物がいるんだ。何だかぞくぞくしてきた。怖いけど、見てみたい。どうしよう。何かいい方法はないかな?
そうだ!
幽霊を見てから逃げればいいんだ。ちらりと幽霊を見てから一目散に逃げればいい。走るのには自信がある。いや、実はない。運動会の徒競走では五人中三位だった。つまり真ん中。速くも遅くもない。ぼくって何をやっても、普通なんだよなぁ。
ギッギッギッギッ……ギ―――ッ……。
三角屋根の洋館の前にいくと、玄関のドアが鈍い音をたてて開いた。まるで、招かれているようだ。この先に幽霊がいる。好奇心を抑えきれず、屋敷に足を踏み入れる。内扉の窓に使われている色彩豊かなステンドグラスがきらきらと輝いている。魅入られるようにして、どんどん入っていく。ホールにはきらびやかなシャンデリアが下がり、床にはモザイクのタイルが貼られ、大理石の暖炉もある。
幽霊屋敷って、こんなに綺麗なのか?
豪華な装飾に心奪われていると、奥の部屋で何かが動いた。視線を向けると、色白の少女が立っている。
出たぁぁぁ!
体ががくがく震え、その場から動けなくなる。
「だーれ?」少女が首を傾げる。
幽霊がしゃべった。誰に言ってるんだろうって、ここにはぼくしかいない。
「ぼくかな?」
うわぁ、幽霊に返事をしてしまった。祟られる。呪われる。殺される。消される。
「これ、開けられる?」
少女は窓に手を伸ばしているが、背が低くて鍵まで届かない。
あれー、おかしいぞ。少女は幽霊なのに足があるし、影もある。昼間に現われるのもおかしい。生きている人間と同じだ、って幽霊じゃないのか!
「この