俺と巫女たちの方陣輪舞
挿画:ぎうにう
デザイン:ナカムラナナフシ(ムシカゴグラフィクス)
序章
「ホオオォジョオオオオォーッ!」
大地を震わす雄叫びと共に、ざっくりと土がえぐれる。
「ホオオォジョオオオオォーッ!」
また土がえぐれる。
水の精霊術士のリューズ・ボイルと、三人の巫女たちが、それを無言で見つめていた。
たっぷり数十秒呆れてから、リューズが呟く。
「なんだあれは」
するとティータ・アスワルドが土の巫女らしく、冷静に分析した。
「土の精霊獣・タイタンが暴走してますね。畑を耕しているようです」
「それはまあ、俺にもわかるんだが」
予想と違った「暴走」ぶりに、リューズは腕組みする。一リンデ(四メートル)ぐらいの土巨人は、一心不乱に農耕中だ。
リューズは首を傾げた。
「なんか無害そうだし、ほっときゃいいんじゃないのか?」
「そうはいかないわよ」
風の巫女のシェイラ・シルフェルが首を振る。
「精霊獣は止まることを知らないから、このまま無限に畑を広げていくわ。家も道路も全部耕されちゃうわよ」
そう言っている間にも、タイタンは畑を拡張していく。
「ホオオォジョオオオオォーッ!」
「ね?」
シェイラの言葉に、リューズは納得してうなずいた。
「ああ、確かに……」
周囲を見回しながら、火の巫女のルビィ・ボイルが呟く。リューズの妹だ。
「土の精霊に豊饒を願った結果だから、タイタンに罪はないんだけど、ちょっとやりすぎだよね」
ティータはうなずき、三人にこう告げる。
「とりあえず、私がタイタンに話しかけてみます。うまく説得できれば、それで調伏できるかもしれません」
リューズたちがうなずくと、ティータは胸の前で手を組み、祈りを捧げ始めた。
「我は一粒の砂にして、大樹の萌芽なり。大地の化身よ、我が求めに応じ、我が声に応え給え……」
タイタンの動きが止まり、ゆっくりとこちらを振り向く。
土の巨人はティータをしげしげと見つめているようで、緩慢な動作でかがみ込んできた。
「うまくいくかな?」
「どうだろうね……」
リューズたちは様子を見守ることにした。
やがてティータがリューズたちを振り返り、タイタンとのやりとりを説明した。
「タイタ