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作者:佐伯庸介,七原冬雪
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-02-20(一迅社)
价格:¥500 原版
文库:一迅社文库

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天命の書板 不死の契約者 天命の書版 不死の契約者 Illustration 七原冬雪 Design AFTERGLOW 目次 始章 一章 霧の島には学舎がある 二章 学舎の中には友がある 三章 蠍の針には決意がある 四章 戦の園には毒がある 五章 心の求めには果てがない 六章 行き着く先には終わりがある 終章 霧の島には母がいる あとがき 始章  八坂韻之介の胸には大きな傷がある。  そこからは一杯にあけた蛇口のように勢いよく血が噴き出し、刻一刻と彼の命を垂れ流していた。  ようするに、彼は死にかけていた。  八坂韻之介の傍らにはひとりの女性がいる。  いまだ少年といった面影の韻之介とは異なり、大人として成長しきった風貌の彼女は、ただ韻之介の傍らに立って彼を見つめていた。涙を流しながら。  一糸まとわぬ姿である。重力に反逆して存在を主張する豊かな乳房や、相反して引き締まった腹部や腰、ふたたびそれを否定するかのように膨らんだ肉付きのいい尻と腿を、女性は惜しげもなく晒している。  ――もっとも、死の淵にある韻之介にはその絶景を楽しむ余裕はなかったが。しかし、絶望と言うにもまた異なる。彼が薄れた視界の中で思うことは、 (涙、きれいだな)  というものであった。いささか場違いなものと言わざるをえない。 「――――――」  女性の口が開き、なにかをこと紡いだ。韻之介は聞き逃さぬよう、残る力を注いで耳を澄ました。もはや死にゆく自分にできることは、なんであれ聞いてやって、彼女の心を満足させることくらいだと、そんなことを考えていた。 「―――望むか?」  かろうじて聞こえた言葉は、問いだった。 一章 霧の島には学舎がある  澄んだ空に、海鳥がまばらに飛んでいた。  視線を水平に移せば、風景は真新しい白と、日光を反射してきらめく青に二分されている。コンクリートと海。港だった。白が延びる先には、一隻の客船が入港している。  人々が、船から延びるタラップを降りている。少年少女といった年頃の顔がほとんどだ。そして一様に、黒を基調とした制服を着こんでいる。  と、人々の喧騒に被さるように音声が響いた。 『――は3番の停留所です。「霧の学舎」新規入学生は、バスに乗りこみ、寮まで移動してください。くり返します。新