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作者:伽遠蒔絵,吉沢メガネ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-01-20(一迅社)
价格:¥500 原版
文库:一迅社文库

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紅盾の皇女と剣の道化 Illustration : 吉沢メガネ Design : AFTERGLOW 目次 序 ある日、公都の市場にて 第一章 近衛の心得 第二章 近衛の領分 あとがき Prologue of the story 序 ある日、公都の市場にて  破壊の音が響いた。  その瞬間、買い物客で賑わう市場が悲鳴と怒号で埋め尽くされる。 「逃げろ!」 「暴れ馬だ!」  叫びに嘶きが重なった。  押し寄せる人混みが物を倒し、人を倒し、すべてを踏み潰して拡散していく。  その中心に、嵐の渦のごとく暴れ回る黒馬。  鞍のない裸の馬。どこのものとも判別はつかない。  誰が、どこからと問う声は、しかしこの場でなんの意味も持たず。  跳ね上げた後脚が一撃で露店を粉砕したかと思えば、次の瞬間には逃げ惑う人の背を前脚で弾き飛ばす。石畳に散る赤いものは潰れた果実か、それとも血か。  まさに阿鼻叫喚。  つい先刻まで和やかな空気が流れていた露店の通りを、ほんのわずかな時間で修羅場に置き換えてしまうとは信じがたい。だが目の前にある現実を消し去ることはできない。  また一つ露店が破壊され、商品が宙を舞った。  奔馬の勢いはまったく止まらない。みずからの撒き散らす破壊に酔っているような、そんな光景。  どうにか逃げおおせた者も凄惨な光景に声を失い、その場に立ち尽くす。  怪我人は大勢。中には倒れたまま動かない者もいる。  いったい、どうしてこんなことに……。  思考が空転し、目の前で暴れている黒い獣も、泣きわめく怪我人の声もすべてが遠くなる。 「誰か助けて、娘が、私の娘がっっ!!!」  悲痛な叫びに、周囲の皆が我に返った。  見れば、未だ狂乱の只中にある路上に、脅えて腰を抜かした子供が一人。  奔馬はそこからわずかの距離。 「誰か! 誰かぁっっ!!」 「助けて!! お母さんっっっ!!」  甲高い母親の声に、子供が反応した。  同時に、その向こうにいた黒馬も〝獲物〟を発見した。  嘶き。  子供が言葉にならない絶望の叫びを上げる。  奔馬はそれを聞いて、さらに狂乱の水位を上げていく。 「あの子を! 誰か、誰か助けてぇぇっっっ!!」  助けな