王道楽土の聖堂騎士団 2
Illustration. TwinBox
Design. AFTERGLOW
目次
第一章 皇女エピカタンセの襲来
第二章 アンジェ激闘
第三章 天使タンプル・ア聖堂ンジェリークの日曜日
第四章 アリストラム・オズグール
第五章 空中宮殿の陰謀
あとがき
第一章 皇女エピカタンセの襲来
校門を一歩くぐると、その向こうには完全武装の騎士たちが待ち受けていた。その数およそ、百人あまり。
中央に立つ、犬の頭を象った兜の騎士が妙なハイテンションで叫んだ。
「早雲壮馬ぁー！ てめぇが偉っそうに騎士王マイスターでいられるのもいよいよ今日が最後だぜぇ！ 見ろやこの兵隊！ てめぇをぶっ倒すためだけに三つの騎士団が合体した、この東方狂犬連合！ 誰かれかまわず噛みつくぜぇー！ わおーん！」
リーダーの遠吠えに合わせて、百人の騎士も一斉に「わおーん！」と叫びだす。
客観的に見て、非常にバカっぽい。
早雲壮馬は小さくため息をついて、通学カバンを地面に置いた。
朝っぱらからこういう連中にからまれるのは、もう慣れっこだ。
なにしろ彼は「騎士王マイスター」という、いささか大仰で気恥ずかしい称号を持つただひとりの生徒なのだ。
ここは皇立バクテマギア神衛騎士学院。魔道と武力をともに修める戦士《神衛騎士ガイストリッター》を育成する学園である。
今現在、壮馬はそこで最強のチャンピオンということになっている。
チャンピオンは、いつ何時、誰の挑戦でも受けなくてはならない。
それがたとえ、どんなにバカっぽい連中であろうとも。
壮馬の数歩うしろにいた少女が、立ちはだかる騎士たちを指でざっと数える。黒髪の美しい、きりりと涼やかな容貌。
名は、鎮西朝霧。壮馬の幼なじみ。
「ひの、ふの、みい……百と少しか。朝一番の錬闘には、少し多いな」
壮馬の左腕に甘えるようにくっついている小柄な少女が、ぷうっとほっぺたをふくらませた。幼さと、小悪魔っぽさが同居した顔立ち。
名は、扇涙世。壮馬の腹違いの妹である。
「やだもう、めんどくさいんですけどー。朝から汗かいちゃう。兄さまだって、るいが汗臭いとイヤでしょ？」
するとうしろのほうから、おっとりした声がした。
女性らしい
