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作者:宮澤伊織
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2014-06-20(一迅社)
价格:¥540 原版
文库:一迅社文库

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不本意ながらも魔法使い 挿画:vane デザイン:木緒なち(KOMEWORKS) 高橋忠彦(KOMEWORKS) 序章 魔法使いと二剣士  ふと気がつくと、落下していた。  天道戒は、目をぱちぱちと瞬いた。  戒がいるのは、何もない空中だった。  びゅうびゅうと音を立てて、風が絶え間なく吹き上げてくる。 「ははーん……夢だな」  確信を持って呟いた言葉を、風がちぎり取っていった。  青空を白い雲が流れていく。風の音がうるさくて、他には何も聞こえない。  見下ろせば、森に覆われた大地がどこまでも広がっている。 「…………夢だよな?」  もう一度呟いてみたが、さっきより確信はなくなっていた。  真っ逆さまに落下しながら、戒は腕を組んで考える。  ……うん、夢のはずだよな。  俺は普通の高校生だし。  飛行機に乗る予定もないし。  こんな高い空から落ちる予定もない。  夢だ夢だ。夢でござる。  でも……あれ? そもそも、俺、いつ寝たっけ?  さっきまで、学校から帰る途中だったような気がしたけど。  たしか、コンビニに寄って、唐揚げを買って出て……。  食べながら歩いてたら、ふっと意識が遠くなって……。  気がついたら……落下していた。  だんだん不安になってきた戒は、自分の身体に目をやった。  制服のズボンに、シャツに、スニーカー。学校帰りのままの服装だ。  手には何も持っていない。カバンはどこに行ったんだろう。唐揚げは?  周りを見回した戒の目に、はるか遠くを落ちていく自分の通学カバンが飛び込んできた。 「あっ、ああっ」  思わず情けない声を上げてしまった。  ファスナーをちゃんと閉めていなかったカバンが大きく開いて、ノートや教科書や筆記用具を空中にばらまいていたからだ。 「あ……あああ……」  戒がなすすべもなく見守る前で、カバンは回転しながら遠ざかっていった。  そして戒のすぐそば、手を伸ばせば届きそうな場所に、食べかけの唐揚げが浮かんでいた。  カリカリの衣の下から顔を覗かせる、柔らかく揚がった鶏肉の色。  脂の混ざった肉汁が、宙に浮いている。  これほど風が強くなければ、おいしそうな匂いが漂ってきただろう。  見ているだけで唾が沸いてくる。  夢にしては、リアルすぎた。  くるくる周りながら上方へ遠ざかって