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作者:太田僚
类型:少年向 日文
出版:2014-04-19(一迅社)
价格:¥500 原版
文库:一迅社文库

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断界の欠喚士 挿画:をん デザイン:ナカムラナナフシ(ムシカゴグラフィクス) 序の章  ――その日の彼は、運が悪かった。  思い返せば、とにかくその一言に尽きた。  今日が休日だったことも、昼飯を買うためにコンビニに寄ったことも。単にこの状況のために積み重ねられたようなものだった。 「あのさ、こういうのってよくないと思うんだ」  後ろ手に回された両の親指には結束錠タイラップ。冗談というには物々しく、ささやかな抵抗すら許されない。  連れ込まれたのはゲーセンのトイレ。そして囲んでいるのは、元クラスメイトの二人。  つまり、彼――瀬々千歳は面倒な状況に陥っていた。 「っ、引っ張っても、取れな……いてっ」 「ごちゃごちゃうるせぇよっ!」  壁に向かって突き飛ばされ、千歳は換気用の窓に後頭部をぶつけた。 「ふぉ、ぉお……」  頭を擦ることすらままならない。その上、お世辞にも綺麗とはいえないトイレだ。転ばされでもしたら、目も当てられない。 「もう勘弁してもらいたいんだけど、駄目ですかね?」  相手の顔色を窺いながら、千歳は苦笑いを浮かべた。 「クラスが変わりゃ、俺たちから逃げられるとでも思ったか?」 「いや、そんな風には思って――たかな」 「随分と素直に言ってくれんじゃん」  背の高い方の男が、優位の笑みを浮かべながら千歳の襟首を掴む。 「俺、すっげぇ傷ついたわ。どうしてくれんだよ」 「どうもしない方向で……」  千歳は渋い顔で俯いた。  たまたま寄ったコンビニで鉢合わせなんて、これ以上にないハズレくじだ。  千歳は気付かれないようにため息を吐いて言う。 「その、俺を標的にしたい気持ちも分かるけど、こっちとしては――」 「記憶にない。俺らのことは顔くらいしか覚えてない、ってんだろ?」 「そう。去年の10月以前の記憶がところどころ抜けてるんだ」  そう口にして、千歳は自嘲的に笑った。 「ここまでしつこくするってことは、俺の財布で錬金術をしてたか、この身体で溜まったものを解消してたんだろうけど」 「嫌な言い方してくれんじゃんよ」  背の高い方が、千歳の襟をさらに締め上げる。 「ま、これっぽっちも覚えてないけどな」 「あ? 覚えてねぇんなら黙ってろっ!」  千歳は再び強く突き飛ばされ、壁に背中をぶつけ、思いっきり咳き込んだ。