水精霊師の契約魔法
イラスト 津雪
デザイン AFTERGLOW
目次
序章
第一章 魔法少女と使い魔
第二章 女王とアイドル
第三章 契約解除
第四章 ワイルドカード
第五章 風の魔法少女
終章
あとがき
序章
橋の欄干の支柱の上に、魔女が立っていた。
「んっ?」
コンビニ袋をぶらぶらさせながら、橋を渡ろうとしていた風間翔太は、ありえない光景に足を止めた。
通行人が川に落ちないように張り巡らされた欄干は、翔太の胸ぐらいの高さがある。その欄干の支柱の上に、さらさらの黒髪をなびかせながら少女が立っている。
愛らしいデザインのミニワンピースに、先の尖った帽子を被りマントを羽織っている。テレビアニメの魔法少女みたいだった。
――コスプレ? それともテレビの撮影?
そんなことを考えてしまったのは、満月を背にして立つ彼女が、まるで映画の一場面のように印象的だったからだ。
腰まで届くさらさらの黒髪、細い首、なだらかな肩、形よく隆起した胸、ウエストは形良くくびれ、ブーツを履いた下肢はすらっと長い。
風で揺れるひらひらスカートの陰で、絶対領域が白く輝いている。
高いところにいるせいか、彼女の姿が月明かりに照らされてくっきりと浮かびあがり、満月の中にいるように見えた。
橋の真ん中は二車線の道路になっていて、車がひっきりなしに行き交っているし、夜の暗がりのせいで顔ははっきり見えないが、かわいい系の女の子であることはわかる。
――あんなところに立ってたら、危なくないか? ってか、どうやったらあんな高いところに立てるんだ? なんであの子、あんな格好してるんだ?
橋の上は風が強い。女優が命綱をつけて映画の撮影をしているならまだしも、あんな不安定なところに立っていたら、川に落ちて死んでしまいそうだ。
「あの子!?」
遠目なのでたしかなことはわからないが、クラスメイトの水坂藍璃ではないのか。祖母がフランス人のクォーターで、まっすぐな黒髪と青い瞳が印象的な女子生徒。
才色兼備で才気煥発。スポーツ万能で、先生の覚えもいい。学園のアイドルというよりは、私立六星学園高等学校の女王だ。
旧家のお嬢様だとか、親が桁違いの寄付金を払ったとか、いろんなウワサも聞いている。
彼女は、