王道楽土の聖堂騎士団
Illustration. TwinBox
Design. AFTERGLOW
目次
序章
第一章 不敗の聖タンプリエ・ア堂騎士ンヴァンシブル
第二章 聖堂の少女たち
第三章 呪獄の貴公子
第四章 早雲壮馬とは誰か
第五章 奈落へ
終章 王道楽土の聖堂騎士団タンプリエ
あとがき
序章
やわらかな朝日が、少年の頬を暖かく照らしていた。
早雲壮馬は、ゆっくりと目を開けた。やわらかな枕に半ば顔を沈め、もうちょっとだけ、と布団の暖かさに浸る。
心地よいまどろみのひととき。至福の時間。
ごろん。と寝返りを打つ。
そして、同じベッドに誰かが寝ていることに気づく。
朝の光を受けて、長くまっすぐなアイスクリーム・ブロンドの髪がキラキラと輝いている。澄みきったアメジスト色の瞳が、甘い微笑みをたたえてじっとこちらを見つめていた。
天使の笑顔だ。壮馬は思う。
着ているものは薄いキャミソールだけで、開いた胸元からは、まるでクリームで作ったみたいな白くなめらかな二つのふくらみが、むぎゅむぎゅと窮屈そうに押し込められているのがよく見える。思わずこのまま顔を埋めたくなるような絶景だ。
「おはようございます、壮馬さん」
鼓膜をくすぐるような声。壮馬はぼんやりと応える。
「あー……おはよう、アンジェ」
少女の名前はアンジェ。アンジェルトルド・ベルレアックという。
「うふふ、壮馬さんたら、お寝坊さんですね」
「えーと、もう起きたよ」
アンジェは唇の端に軽く指を咥えて、ちょっぴり恥ずかしそうに、だけどなにかをおねだりするみたいに上目遣いで壮馬を見つめる。
「あの……それじゃ、してもいいですか? いつもの、あれ」
「……するの? 朝から? やめとかないか」
「だーめ」
ゆっくりと、アンジェは壮馬の上に馬乗りになる。ほとんどむき出しの太ももが、壮馬の腰をぎゅっと締めつける。
アンジェはそのほっそりした腕をまっすぐに伸ばした。その手の中に、つかの間金色の光輝がきらめいたかと思うと、美しい直身の長剣が現出する。
「あの、ちょっ……!」
壮馬が言葉を発する間もなかった。
びゅおん!
アンジェは剣をまっすぐ、壮馬の眉間めがけて振り下ろした。