呪われ勇者と星蝕みの竜姫
挿画:神谷ともえ
デザイン:木緒なち(KOMEWORKS)
高橋忠彦(KOMEWORKS)
序章
少年の剣が、星魔王の胸に深々と突き刺さった。
「ぐうぁあああああああああ」
地底深くに存在する、あらゆる光が届かない漆黒の宮殿に、うめき声が響く。
激戦の末に成し遂げた一撃だった。
星魔王の動きが停止し、魔力により強化され、人の数倍の大きさに変異していた身体に亀裂が入る。
そして、ぼろぼろと崩れ出す。
その場にいた五人の少年少女は、瞬きすることも忘れて星魔王の崩壊に見入った。
これで終わる。そう期待していた。
「……見事だ。星紋をもつ人間たちよ……」
星魔王は言った。
「だが残念だったな。我は不死身。この身は決して滅びぬのだ! ふは、ふはははは」
高らかな笑い声とともに、その宣言を肯定するように、身体の崩壊がとまる。
無数の亀裂が少しずつ元に戻り始めている。
しかし、少年たちは絶望しなかった。
「今だ、ミリア!」
「はい!」
少年が叫ぶと、一人の少女が手にした杖をかかげる。
「封星!」
杖の先端から稲妻のようなまばゆい光が放出され、星魔王の身体へと到達する。そして、光はその巨体を包み込むように拡がり、網目状の球体を形成した。
球体は、みるみるうちに縮んでいく。
「なんだこれは!? か、身体が、引き裂かれる……、ぐわぁ、ぐわぁぁぁ」
直前の様子が嘘だったかのように、星魔王は狼狽し、悲鳴を上げた。
封星。それは対象を封じこめる術だった。星魔王を完全に倒すことはできないかもしれない。それを知っていた五人は、星魔王を倒すのではなく、封印することを選んだのだ。
やがて光の球体は人の頭ほどにまで収縮すると、五つの球へと分離した。
五つの小さな光はどんどんと体積を縮めていき、やがて光輝く宝石となった。
「おのれ、こしゃくな星紋使いのガキどもめっ! 何をする気だ!」
声が響くが、もはやそこには星魔王の姿はない。
空中に浮かぶ五つの宝石に向かって、少年は言った。
「おまえの身体を五つの宝石に封じこめた。おまえは、石になって永遠を生きるんだ」
「なんだと!?」
「イザベル! 第二の封印を頼む!」
少年の次な