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作者:白川紺子,井上のきあ
类型:乙女向 书籍样本 日文
出版:2016-12-21(集英社)
价格:¥562 原版
文库:Cobalt文库
丛书:下鴨アンティーク(3)
代购:lumagic.taobao.com
下鴨アンティーク 雪花の約束 (集英社オレンジ文庫) 集英社eオレンジ文庫 下鴨アンティーク 雪花の約束 白川紺子 この本は縦書きでレイアウトされています。 下鴨アンティーク 雪花の約束 目 次 星の糸 赤ずきんをさがして 雪花の約束 子犬と魔女のワルツ  ――思うに、運命の赤い糸というのは、切れてからが本番なのだ。 *  京都に行っておいで、と祖母は志織に言った。祖母が亡くなる数日前のことだった。 「着物があるんや」  病院のベッドに横たわる祖母の声は、もはや半分眠っているようだったが、どこかきっぱりとしていた。  関西訛の残る口調で、祖母は「着物が」とか「着物を」などと繰り返す。 「着物が、どうしたの?」  志織が尋ねると、 「着物を、見ておいで」 「……? 見て、どうするの?」  意図がのみこめずに首をかしげると、祖母はベッドの脇にある棚を指さした。葉書が一枚、のっている。黒い縁取りがある――喪中葉書だ。何故こんな縁起の悪いものをそばに置いておくのだ、と志織はすこし眉をひそめた。 「昔、そのひとに着物を譲って」  葉書を見れば、亡くなったのは《野々宮芙二子》というひとらしい。住所は京都だ。 「譲ったって、この亡くなったひとに? それとも喪主さんに?」  亡くなったひとのほうだ、という。 「いまも、あの蔵にあると思う」 「蔵?」 「あの着物……おかしなことになった、私の着物……」  歌うような、夢を見ているような調子で祖母は言う。薄い胸が上下していた。 「疲れた? お祖母ちゃん。ちょっと寝たら?」 「京都に行って、あの着物、見ておいで」  祖母は執拗にそう言った。 「きっと、おまえの助けになるから」  志織は布団を祖母の胸まで引きあげようとしていた手をとめる。――助けになる、とは、志織のいまの事情のことを言っているのだろうか。  祖母は、かすかに笑みを浮かべていた。それはどこか神々しさすら感じる笑みで、だから志織は、ああ祖母はもう長くないのだ、と思って視線をずらした。  入院してからの祖母は、日一日と生気を失い、すこしずつ死にゆくようで、それをそばで眺めているのは残酷でうしろめたい気分がして、志織はあまり見舞いには訪れなかった。薄情だと思ったが、弱ってゆくひとを見守るだけの余裕が、このときの志織にはなかったのだ。  葬儀のあと、祖母の意を汲ん