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作者:岐川新,雲屋ゆきお
类型:乙女向 书籍样本 日文
出版:2017-02-02(角川书店)
价格:¥580 原版
文库:角川Beans文库

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巫女華伝 恋の舞とまほろばの君 巫女華伝 恋の舞とまほろばの君 岐川 新 角川ビーンズ文庫 本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 風来る 一章 異彩の皇子 二章 玉響の戯れ 三章 さやぐ橘 四章 夢か現か 五章 彼は誰 終章 風の行方 あとがき  君立ちて 花香しき 泉のほとり  その身時じくに 老ゆを知らず  八千代に我らを 守りたまふ  ふと風が騒いだ気がして、瑠璃は薬草を摘んでいた手を止め、顔をあげた。 「なに──?」  しかし、そこには悠々と春の野が広がる、いつもの風景があるだけだ。  草原を渡ってきた風が戯れるように吹きつけ、ひとつに結わえていた髪を弄ぶ。気のせいか、と軽く息をついて、乱れた髪に手をやった時だった。  もぞり、と懐がうごめいた。 「ソラ?」  気づいた動きに、瑠璃は胸元へ視線をおとした。衣のあわせから、昼間は人の懐を寝床にして眠っているモモンガのソラが顔をだす。 「どうしたの?」  こちらが動き回っていても多少のことでは動じない彼の、珍しい行動に首を傾げる。  ソラは問いかけに反応することなく鼻をひくつかせて、さっと瑠璃の肩へと駆けあがった。 「ソラ!?」  突然なにごとかと、小さな姿を追って巡らせた視界が陰る。 「え……、っ」  反射的に頭上を仰いだ瑠璃は短く息を吞んだ。逆光になって見えないが、何者かがかがんだこちらをのぞきこむようにして立っていたのだ。  ──……いつのまに?  こんな間近に立っているのに、まったく近づいてくる気配を感じなかった。  驚きに固まった瑠璃の肩で、ソラがしっぽを逆立て威嚇音をあげる。  その音にはっと我に返った。  瑠璃は喉を上下させると、人影から視線をはずさないまま、そろりと立ちあがった。近すぎる距離に二、三歩足をひく。それでも見上げなければならないほど、人影──男は大きかった。 「……どちらさま、でしょう」  硬い声音で問いかけながら、瑠璃は男の全身へと視線を走らせた。  年のころは、今年十六の自分よりいくつか上といったところだろうか。  やや色素の薄い柔らかそうな髪は、その短さもあいまって陽光に明るくきらめい