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作者:梨沙,カズアキ
类型:乙女向 书籍样本 日文
出版:2017-01-20(一迅社)
价格:¥540 原版
文库:一迅社文库Iris

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お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係 目次 序章 第一章 竜の卵 第二章 謎の男 第三章 竜と青年 第四章 灰竜の逃亡 第五章 赤の祝宴 終章 あとがき イラストレーション ◆ カズアキ お嬢様と執事見習いの尋常ならざる関係 序章  目の前には竜がいた。  血まみれの竜だ。  前足に少し力を込めるだけで、頑強な城の石床は粉々に砕けた。皮膜が左右に割れて金の目が現れる。縦に裂けた黒瞳は殺意に底光りし、獲物を吟味するかのようにゆるりと辺りを見回した。  恐怖に足がすくみ、肌が粟立つ。  おそらくは広間にいる誰もがミシェルと同じ状態だろう。  軋みをあげて広がった両翼が月光を遮り、明かりの消えた広間に闇よりなお暗い死の気配が重く垂れ込めた。ゆっくりと開いた口には長大な牙がびっしりと並んでいた。獰猛な肉食獣を思わせる牙だ。事実、竜は大型の動物をエサとし、その骨を小枝を折るように易々と噛み砕く。  咆哮に似た啼き声に、びりびりと空気が震えた。  広間に竜が顔を突っ込むと石壁が崩れ、城全体が揺れた。巨石の下敷きになった者がうめき声をあげ、そこかしこで悲鳴があがる。圧倒的な力の前に人間などなすすべもなかった。  そんな中、密やかに笑う男がいた。  艶やかな黒髪を後ろで軽く束ねた男である。おおよそ剣の似合わない容貌は美麗の一言に尽きる。人を食ったように斜に構える姿も、仕立てのいい夜会服も、涼やかを通り越して冷ややかとさえ思える眼差しも、なにもかもが荒事に向きそうにない。  けれど、笑って口を開いた。 「私の女に手を出すな。たかが竜の分際で」  怒りというのは、存外と人に力を与えるものらしい。自分のことを言われたのだと気づいた瞬間、ミシェルは叫んでいた。 「だ、誰が誰の女だ……!!」  ふっと彼は笑みを消す。  誰もが死を覚悟し、恐怖に指一本動かせずすくみ上がるそんな状況で、彼は剣を手に迷わず床を蹴った。まっすぐ、竜の懐に飛び込むように。  長大な頤が彼を噛み殺そうと開かれる。  華やかだった祝賀会は、そして漆黒に塗りつぶされた。 第一章 竜の卵 1  王の居城は垂直に切り立った崖谷に立てられていた。  重なり合うようにそびえ立つ青い屋根の尖塔は国の象徴でもある。増築を繰り返した独特の景観は荘厳で美しく、城壁には竜と盾をかたどった旗が谷風にひるがえっていた