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作者:東堂燦,うぐいす
类型:乙女向 书籍样本 日文
出版:2016-12-10(集英社)
价格:¥605 原版
文库:Cobalt文库

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湖城の魔王と異界の少女 睡蓮の花嫁 集英社eコバルト文庫 湖城の魔王と異界の少女 睡蓮の花嫁 東堂 燦 この本は縦書きでレイアウトされています。 湖城の魔王と異界の少女 睡蓮の花嫁 CONTENTS Prolog 1.水神の町 2.小夜啼鳥は籠の中 3.幽霊塔に過去は眠る 4.はじまりの花嫁 5.湖城の魔王 Epilog あとがき イラスト/うぐいす Prolog  魔界の夜は、月こそが美しい。深い闇に覆われた空では、星々の光が遠く、青白い月ばかりが煌々と輝くのだ。  それは広大な湖を有し、肥沃な大地に恵まれた《湖城》の国も例外ではなかった。  魔族のヴィリは、冷たい湖を揺蕩いながら、夜空に昇った月を見ていた。  襤褸切れ同然に傷ついた少年の身体は言うことを聞かず、指一本すら動かせない。ひしゃげた腕、折れた足や肋骨、青紫に腫れた頰は、最早、痛みさえ分からない。 (もう、だめかもしれない)  ヴィリは、自分の身体が文字どおり解けていくのを感じた。雪のように白い髪、褐色の肌に緑の目、骨ばった瘦軀が徐々に形を失っていく。  人型を保っていることができず、ヴィリの姿かたちは本性である白い睡蓮に戻った。  茎は折れ曲がり、葉は千切れて穴だらけだ。閉ざされた蕾はかたく、花開くこともできなかった。こんなにも弱くて、惨めで醜い花がヴィリだった。  今にも枯れてしまいそうな睡蓮は、死出の旅に向かっている。 (死にたくない。嫌だ。生きて、いたい)  途切れそうな意識を繫いで、ヴィリは自らの茎を、葉を、かたい蕾を天に向かって伸ばす。空に浮かんだ月を目指して、必死になって花を咲かせようともがいた。  直後、こぽり、と湖に何かが落ちてきた。水底に沈んでいくそれは、傷を負っているのか、赤い血を垂れ流している。  その血が枯れゆく自分を――睡蓮の花を染めたとき、ヴィリは弱くて醜い花から、魔王として生まれ変わったのだろう。 「ヴィリ。こんなところで何をしている」  昔なじみの声に、ヴィリはそっと瞼を開いた。  眼前に広がっていたのは、夜の湖ではなく、鬱蒼とした森だった。自分の身体とて、みすぼらしい睡蓮の花ではなく、しなやかな青年の姿をしている。 「少しだけ、夢を見ていたんだ」  毛先に向かって赤みを帯びた白髪を揺らし、ヴィリは微笑んだ。  風が吹き抜けて、木々を揺